小学3・4・5・6年生(9歳~12歳)の平均身長・体重・低身長目安は?文科省最新データを基に解説
小学校中学年に上がってくると、男の子でも女の子でも、周りの友達と比べて身長が思うように伸びないと悩み始める時期でもあるでしょう。そして、5年、6年になると成長期に早めに入る子も出てきてますます身長が気になる年頃です。
中学生(13歳から15歳)の平均身長、低身長の目安についてはこちらの記事で解説しています。
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9歳女子の平均身長
9歳女子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は男の子よりも成長期が始まるのが早いので、10~11歳で成長期のピークを迎える子も少なくありません。
ですから、標準的な範囲内での身長差が13㎝を超えて広がる時期です。正常に成長しているにもかかわらず、周りと比べて背が低いことに悩む子も出てくるでしょう。
9歳女子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。-2.0SDは統計用語で、同性・同年齢の子どもを100人無作為に集めたときに低い方から2~3番目までに入る子どもです。表は9歳女子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。
体の発達のスピードや時期には個人差があります。ゆっくり伸びる子もいますし、早く身長が伸びて、その後はあまり伸びずにいる子どももいます。
最近はインターネットから身長に関する情報を得ることもできます。しかし、お子様の年齢と身長を確認し、-2SD以下の場合は、専門家にご相談されることをお勧めします。治療が必要なレベルの低身長に関する検査は専門医でしかできません。
9歳女子の平均体重
9歳女子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。
多くの女の子が体重を気にし始める時期でしょう。1㎏増えただけでも気になる、同じくらいの身長でももっとスリムな子がいるなど、周りと比較することも多くなります。
男女とも就寝時間が遅くなるのもこの時期です。伸長に良い習慣を身に付けられるよう親の助けが必要です。体重の増加と身長の伸びには個人差があり、タイミングがずれることも多いです。
9歳は運動に比例し背が伸びる時期
9歳になると、自発的に物事を進めようとします。なので、1日の生活リズムを自分で作り上げるようになります。ここで、多くの子どもが失敗してしまうのが「伸長習慣」とかけ離れてしまうことです。子どもは、以下のような活動をするようになるでしょう。
- 友達関係が広がり、明朗になる
- よく喋るようになり、活発に動きまわる
- 体が丈夫になり、運動能力が増す
- 自転車で友達と冒険に出かける
生活習慣は、日々の活動が活発になることに反比例して不規則になります。ですので、子どもが伸長習慣を身に付けられるように親の手助けが必要です。この時期の女の子は、適度な運動と栄養で伸び率が高くなります。
「9歳の壁」子どもに起きる変化
哲学者・教育者であったルドルフ・シュタイナーは、「シュタイナーの教育方法論の特質」の中で、9歳を「児童期第1期と第2期の過渡期」と説明しています。勉強面や内面的成長の変化を指し、「9歳の壁」とも呼ばれています。「9歳の壁」とは、子どもの自己肯定感が失われやすく、自信が持てなくなることを指します。
- 7歳~9歳の第1期児童期:身体の動きと別に頭で思考することを覚える年齢
- 9歳~の第2期児童期:「自己意識」を強める年齢
小学校の授業でも動物や植物、国語の文法など、外の世界に視点を向けるような内容が増えてきます。また、分数や割り算といった抽象的思考が必要になり始めます。
子どもの発達には差があるため、抽象的思考を獲得していない子どもが、「9歳の壁」を越えられないという事態が生じます。「これまで問題なく勉強ができていたのに、急に自信をなくし、勉強が苦手になった」ということが起こり得る時期です。
また、「他者意識」が発達し、他人と比較して自分を認識するようになります。そのため、子どもの自己評価や自尊心が低下してしまいます。
子どもに家事を手伝わせてほめる
他人と比較して自己評価が低くなった子どもに必要なのは、あらためて自信をつけさせることです。親が子どもに自信をつけさせる方法は、「ほめる」ことです。「すごい」「すばらしい」「さすが」「ありがとう」といった言葉を使って子どもをほめましょう。
ほめるポイントが見つからないと思う時は、子どもに家事を手伝ってもらいましょう。洗濯物をたたませたり、洗い終わった食器を棚に戻してもらったり具体的に指示します。
そうすれば、「丁寧にたためたね」「手伝ってくれてありがとう」とほめることができます。子どもも、役に立てたと実感することで、自己肯定感が養われます。
9歳男子の平均身長
9歳男子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。男の子は9歳になると成長期に入り始める時期です。平均的な身長の伸びとしては1年間で平均5.0cm以上伸びます。
平均身長(標準身長)だけでなく、上記の標準的な身長(±SD)に入っているかどうかに着目しましょう。毎日の習慣の積み重ねで背は伸びます。
9歳男子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。-2.0SDは統計用語で、同性・同年齢の子どもを100人無作為に集めたときに低い方から2~3番目までに入る子どもです。表は、9歳男子の-2.0SDにあたる身長を月齢別に示したものです。
-2SD以下は、医学的には低身長と考えられています。しかし、体の発達には個人差があり、周りと比べると発達が遅いように見えても、正常な成長の範囲内である場合もあります。低身長は必ずしも病気ではなく体質的な場合がほとんどです。
お子様の年齢と身長を確認し、-2SD以下の場合は、専門医に相談することをお勧めします。インターネット上で、ある程度情報を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
9歳男子の平均体重
9歳男子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。9歳になると、体が丈夫になり、運動能力も増し活発になります。スリムな体で、柔軟で弾力性のある体になります。
標準的な範囲内でも体格の大きな子と小さな子の差が一気に15㎏を超えて広がる時期です。男女とも就寝時間が遅くなるのもこの時期です。伸長に良い習慣を身に付けられるよう親の助けが必要です。
9歳は自発的に考え行動し始める時期
小学3年生になると、自発的に物事を進めようとします。なので、1日の生活リズムを自分で作り上げるようになります。9歳の子どもは何かを完成させる事に非常に興味を持つ時期です。遊びであろうと、勉強であろうと同じ事を繰り返すことが上手くなります。
ここで、多くの子どもが失敗してしまうのが「伸長習慣」とかけ離れてしまうことです。生活習慣は、日々の活動が活発になることに反比例して不規則になります。この時期は、子どもが以下のような活動をするようになるでしょう。
- 友達関係が広がり、明朗になる
- よく喋るようになり、活発に動きまわる
- 体が丈夫になり、運動能力が増す
- 自転車で友達と冒険に出かける
要領よくこなしたり、反発したり、時にはごまかすことを覚えるようになるでしょう。ですので、子どもが伸長習慣を身に付けられるように親の手助けが必要です。
「9歳の壁」子どもに起きる変化
哲学者・教育者であったルドルフ・シュタイナーは、「シュタイナーの教育方法論の特質」の中で、9歳を「児童期第1期と第2期の過渡期」と説明しています。勉強面や内面的成長の変化を指し、「9歳の壁」とも呼ばれています。
「9歳の壁」とは、子どもの自己肯定感が失われやすく、自信が持てなくなることを指します。
- 7歳~9歳の第1期児童期:身体の動きと別に頭で思考することを覚える年齢
- 9歳~の第2期児童期:「自己意識」を強める年齢
この時期に学校の学習で、例えば分数や割り算といった抽象的思考が必要になり始めます。しかし、子どもの発達には差があるため、抽象的思考を獲得していない子どもが、「9歳の壁」を越えられないという事態が生じます。
「これまで問題なく勉強ができていたのに、急に自信をなくし、勉強が苦手になった」ということが起こり得る時期です。また、「他者意識」が発達し、他人と比較して自分を認識するようになります。そのため、子どもの自己評価や自尊心が低下してしまいます。
子どもをほめて自信をつけさせる
他人と比較して自己評価が低くなった子どもに必要なのは、あらためて自信をつけさせることです。親が子どもに自信をつけさせる方法は、「ほめる」ことです。「すごい」「すばらしい」「さすが」「ありがとう」といった言葉を使って子どもをほめましょう。こういった言葉は、子どもにとってほめられたと分かりやすいです。
しかし、「すごいね」と言うだけでは、何が「すごい」のか分かりづらいでしょう。そのため、どの行動をほめているか具体的に言語化しましょう。
「毎日1時間も勉強して、さすがだね」「脱いだくつを片づけてくれてありがとう」など、できるだけ具体的にほめてください。あまり敏感になりすぎず、子どもをほめ、親子で丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
10歳女子の平均身長
10歳女子の平均的な身長分布を表にしました。以下の表は文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は男の子よりも成長期が始まるのが早く、10歳で成長期のピークを迎える子も多くなります。ですから、標準的な範囲内での身長差が14㎝を超えて広がる時期です。
これは、女性の場合全世代で最も大きく差が広がる時期になります。正常に成長しているにもかかわらず、周りと比べて背が伸びないことに悩む子も多くなるでしょう。
10歳女子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。表は10歳女子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。体の発達には個人差があり、単に発達がゆっくりな可能性もあります。インターネット上の情報である程度知識を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
10歳女子の平均体重
10歳女子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は10歳で成長期のピークを迎える子も多くなります。ですから、標準的な範囲内でも体格の大きな子と小さな子の差(標準偏差)が15㎏を超えて広がる時期です。
多くの女の子が体重を気にし始める時期でしょう。しかし、身長の伸びは体重の増加なくして起こりえません。
10歳の壁とは?
10歳頃(小学校4年生頃)は、心も体も子どもから大人へと移り変わる大切な時期です。一般的に、この年代の女の子は男の子よりも精神的に早く成長します。親から精神的に独り立ちするプロセスが早くも10歳ころから始まる女の子が多いようです。いわゆる「10歳の壁」が訪れるのも、女の子は男の子よりも少し早い傾向にあると言われます。
女の子であれば、少しずつお姉さんっぽくなっていくものです。いろいろなことに疑問を持ったり、急に大人びたことを言ったりし始めます。親との関係性においても、いきなり甘えてみたり、でもそれを素直に表現できなかったりと、子ども自身、戸惑っている時期とも言えます。
と言っても、スムーズに独り立ちできるわけはないので、親(特に同性の親)との言い争いや反目も起き始めるかもしれません。自我が育ってきて、「自分」というものをだんだん考えられるようになっているプロセスです。他人と比較して自分自身を知っていき、親や友だちとの関わりも変化してきます。
体力面や体格面でも同級生との差が出てくる時期です。ですから、同級生と比較して身長が高い、低い、体格が大きい、小さいことを自覚するようになるのです。劣等感が、様々なことに対する意欲の低下やいらだち、不安につながるかもしれません。
子どもの考えをよく聞きほめる
まず、子どもの考えをよく聞き、お子さんのいいところを探して認めてあげましょう。きょうだいや周囲の友だちと比べるのではなく、できていることを褒めてあげるのが大切です。たとえば、他者へのやさしさや親への思いやり、大人にはない豊かな感性などです。
周囲と比較することのない自己肯定感を子どもの中に育みましょう。小さなことであっても、やり遂げたときに「すごいね!」と親からほめ言葉をかけられることが、10歳世代の子どもの大きな自信となります。
10歳男子の平均身長
10歳男子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。10歳になると成長期が始まる子も多くなります。
10歳男子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。表は10歳男子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。
体の発達には個人差があり、単に発達がゆっくりな可能性もあります。インターネット上の情報である程度知識を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
10歳男子の平均体重
10歳男子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。10歳になると成長期が始まる子も多くなります。ですから、標準的な範囲内でも体格の大きな子と小さな子の差が一気に16㎏を超えて広がる時期です。
最近は男の子でも体重を気にする子が多いようです。しかし、身長の伸びは体重の増加なくして起こりえません。
10歳の壁とは?
10歳頃(小学校4年生頃)は、心も体も子どもから大人へと移り変わる大切な時期です。10歳の男の子の発育段階で気をつけるべきポイントは、「10歳の壁」と言われます。以下のような育児・教育のピンチに続き、次に突如現れる大きな障壁が「10歳の壁」と言われます。
- 魔の2歳
- 悪魔の3歳
- 4歳の壁
- 5歳の中間反抗期
- 小1の壁
- 10歳の壁
幼少期から思春期に移行する間の成長によって、心身でつまずきを経験したり、反抗的な態度を示すことが多くなるかもしれません。体力面や体格面でも同級生との差が出てくる時期です。身体的な変化によって、運動能力の差もクラス内で顕著となります。また、10歳ごろは自分を客観的に見る能力も芽生えてきます。
ですから、同級生と比較して運動が得意、不得意であることを自覚するようになるのです。身長や体格において、周囲に対して劣等感を持ちやすくなります。劣等感が、様々なことに対する意欲の低下やいらだち、不安につながるようです。今まで運動が好きだった男の子も、周りに対する引け目や劣等感で積極的に参加しなくなるかもしれません。
子どものいいところを探す
親としては、数字で測れるものだけでない、10歳のお子さんのいいところを探して認めてあげましょう。きょうだいや周囲の友だちと比べるのではなく、できていることを褒めてあげるのが大切です。たとえば、他者へのやさしさや親への思いやり、大人にはない豊かな感性などです。周囲と比較することのない自己肯定感を子どもの中に育みましょう。
11歳女子の平均身長
11歳女子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は男の子よりも成長期が始まるのが早く、10歳で成長期のピークを迎える子も多くなります。11歳女子は、標準的な範囲内での身長差が13㎝前後も広がる時期です。
これは、女性の全世代の中でも、差が大きく広がる時期といえます。正常に成長しているのに、周りと比べて身長の伸びが遅いと悩む子もいるでしょう。
11歳女子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。11歳女子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。体の発達には個人差があり、単に成長がゆっくりなだけである場合が多いものです。インターネット上の情報である程度知識を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
11歳女子の平均体重
11歳女子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は10歳で成長期のピークを迎える子が多くなります。11歳女子は、標準的な範囲内でも体格の大きな子と小さな子の差(標準偏差)が15㎏を超えて広がる時期です。
多くの女の子が体重を気にし始める時期でもあります。しかし、身長の伸びは体重の増加なくして起こりえません。
11歳は大人への変化の始まり
11歳は、心身ともに様々な成長や変化が見られる時期です。物事を客観的に観察したり、分析したりできるようにもなってきます。交友関係も広がり、家族よりも友だちとの関係を大切にするようになり、親には秘密の世界を作りたがる傾向も出てきます。女の子の場合、初潮を迎える前の2年間が身長が伸びる最盛期とも言われていて、11歳女子は身長が伸びる時期です。
体の変化に伴い、イライラしたり、集中力が低くなる特徴もあります。このような心身の変化には個人差があるので、周りの友だちと比べて不安になったり、恥ずかしさを感じることもあるでしょう。自立心が芽生える一方で、それに対する不安も感じ、自分でもどうしたら良いか分からなくて、殻に閉じこもったり、反抗したりもします。
一般的に、男の子よりも女の子のほうが早く大人びてくるので、急に男子や周りの男性を避けるようになる子もいます。このように、11歳女子にとって、今までは気にとめなかったことが、ストレスの原因になり得るのです。
気持ちに寄り添い、共感する
子どもの考えをよく聞き、理解し、認めてあげましょう。10代前半の時期は、共感してもらえると大きな安心感を覚えるものです。
わがままに思えるような言動が見られるとしても、不安やストレスが原因なのかもしれません。大人へと成長していく自分のことも受け入れてもらえるという安心感は、自分自身を肯定する助けになります。
11歳男子の平均身長
11歳男子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。男の子は女の子よりも成長期が始まるのが遅く、成長のピークが始まる子とそうでない子の差が出てくる時期です。
正常に成長しているにもかかわらず、周りと比べて背が伸びないことに悩む子も出てきます。平均身長(標準身長)だけでなく、標準的な身長(±SD)に入っているかどうかに着目しましょう。
11歳男子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。表は11歳男子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。
体の発達には個人差があり、周りと比べると発達が遅いように見えても、正常な成長の範囲内である場合もあります。インターネット上で、ある程度情報を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
11歳男子の平均体重
11歳男子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。
男の子は11歳で成長期が始まる子もいますが、身長が著しく伸びる時期は大体13歳ごろです。ですから、標準的な範囲内でも、体格の大きな子と小さな子の差が20㎏を超えることがあります。人によっては、体重の増加と身長の伸びるタイミングがずれ、バランスが悪いように思えることもあります。
思春期の始まり?
11歳頃(小学校5年生頃)は、心も体も子どもから大人への変化が始まる大切な時期です。一般的に思春期は、男の子の場合、10歳から14歳頃に始まります。
声変わりが始まり、体つきも少しずつたくましくなり、ニキビなど外見を気にするようになる子もいるかもしれません。体の変化に加えて、心にも急激な変化が生じ、上手く表現できなくてイライラしたり、反抗的になることもあります。
でも、外見も言動も子供らしさが残っている子もいるでしょう。体の成長の個人差が大きい時期なので、劣等感を感じ、人知れず悩んでいる場合もあるかもしれません。11歳頃の男の子は、男性ホルモンの影響で、攻撃的になったり、エネルギッシュになる特徴もあります。
子どもの心身の変化は親にとっても戸惑いの原因になりますが、親のストレスは子どもにも伝わるものです。不安やストレスは、成長ホルモンの分泌を阻害しかねません。
エネルギーを発散させてあげる
11歳頃の男の子は、テストステロンという男性ホルモンの分泌が始まる時期です。テストステロンは、男性らしさを高めたり、闘争心やモチベーションの向上を促す働きがあります。
戦いや攻撃が好きだったり、エネルギーがあり余っているように見えるでしょう。この力強いエネルギーは、上手に発散させないと、いじめや問題行動など別の方向に向かってしまう危険があります。家でゲームばかりしているなら、体を動かして、エネルギーを発散できるようにしてあげましょう。
何か目標を作って、それに向かって頑張ることによって、エネルギーを正しい方法で発散することもできます。身体的な変化に加え、精神面でも成長するので、親の欠点などを指摘してくるかもしれません。生意気なことを言うわりに、自分に自信がなく、誰かに認めてもらいたい年頃でもあります。
12歳女子の平均身長
12歳女子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は男の子よりも成長期が始まるのが早いので、10~11歳で成長期のピークを迎える子も少なくありません。子どもの骨を大人の骨にして成長を止める役割を果たすのは女性ホルモンです。
ですから、12歳付近で思春期が始まる多くの女の子は、早く成人身長に達してしまいます。ですから、12歳になってくると、成長期の後半に差し掛かる子と遅れて成長し始めた子の差が少し縮まります。10-11歳では、標準範囲内の身長差でも13㎝以上あります。12歳では、標準範囲内の身長差が12㎝位に落ち着いてきます。
正常に成長しているのに、周りと比べて身長の伸びが遅いと悩む子もいるでしょう。平均身長(標準身長)だけでなく、標準的な身長(±SD)に入っているかどうかに着目しましょう。
12歳女子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。-2.0SDは統計用語で、同性・同年齢の子どもを100人無作為に集めたときに低い方から2~3番目までに入る子どもです。表は12歳女子の-2.0SDにあたる身長を示したものです。
体の発達のスピードや時期には個人差があります。単に成長がゆっくりなだけである場合が多いものです。最近はインターネット上の情報で、かなりの知識を得ることもできます。それでも、治療が必要なレベルの低身長に関する検査は専門医でしかできません。
12歳女子の平均体重
12歳女子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。女の子は10歳で成長期のピークを迎える子が多くなります。成長期後半になると、急激に女性らしいふくよかな体になる女の子も少なくありません。それに伴い、体重もぐっと増える子も多いようです。
多くの女の子が体重を気にし始める時期でもあります。しかし、身長の伸びは必ず体重の増加とセットで起こります。体重の増加と身長の伸びには個人差があり、タイミングがずれることも多いです。無理なダイエットは決して行わないようにしましょう。
12歳の女の子は自分を確立し始める
12歳の女の子は、物事を客観的に観察したり、分析したりできるようにもなる時期です。交友関係も広がり、家族よりも友だちとの関係を大切にするようになり、親には秘密の世界を作りたがる傾向も出てきます。
「自分はこういう人間だ」というアイデンティティを確立し始めます。と言っても、もちろん何の葛藤も衝突もなくアイデンティティが確立するわけもありません。ですから、アイデンティティをなかなか確立できない中で、自分は必要とされていないのではないか、価値がない人間なのではないかと悩む時期でもあります。
成長には個人差があるので、周りの友だちと比べて不安になったり、恥ずかしさを感じることもあるでしょう。12歳女子にとって、今までは気に留めなかったことが、ストレスの原因になり得るのです。不安やストレスは、食欲を低下させたり、睡眠の質を下げる可能性があります。成長ホルモンの分泌も阻害されるので、ストレスは体の健全な成長の大敵です。
気持ちに寄り添い共感する
12歳は反抗期に入り始める難しい時期と思われがちです。しかし、反抗期とは喜ばしい成長の過程とも言えます。反抗期がきたということは、順調に成長している証拠でもあります。子どもの考えをよく聞き、理解し、認めてあげましょう。わがままに思えるような言動が見られるとしても、不安やストレスが原因なのかもしれません。反抗期とは親にとっても子離れの機会です。
一緒に成長する気持ちで見守っていきましょう。10代前半の時期は、共感してもらえると大きな安心感を覚えるものです。大人へと成長していく過渡期の自分を受け入れてもらえる安心感を持てるようにサポートしましょう。
12歳男子の平均身長
12歳男子の平均的な身長分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。男の子は女の子よりも成長期が始まるのが遅く、成長のピークが始まる子とそうでない子の差が出てくる時期です。ですから、標準的な範囲内での身長差が16㎝を超えて広がってきます。
12歳男子の低身長の疑いがある目安
病院での検査が勧められる程度の「低身長」とは、平均身長を元にした身長標準偏差スコアが「-2.0SD以下」を指します。12歳男子の-2.0SDにあたる身長を月齢別に示したものです。
体の発達には個人差があり、周りと比べると発達が遅いように見えても、正常な成長の範囲内である場合もあります。インターネット上で、ある程度情報を得ることもできますが、きちんとした検査は専門医でしかできません。
12歳男子の平均体重
12歳男子の平均的な体重分布を表にしました。文部科学省が発表する学校保健統計調査報告書(令和2年度)を基に編集部で作成しています。男の子は平均的に10歳頃から成長期が始まり、身長が著しく伸びる時期が12歳ごろです。ですから、標準的な範囲内でも、体格の大きな子と小さな子の差が20㎏を超えることがあります。
人によっては、体重の増加と身長の伸びるタイミングがずれ、体格の発達がバランス悪いように思えることもあるでしょう。
12歳は体も精神も大人の始まり
12歳頃は、身体が大きくなる、声変わりが始まるなどの身体的変化も生まれ、大人へ近づいていく大切な時期です。親からは、まだまだ子どもに見えるかもしれませんが、大人と変わらない機能的な変化も見られてきます。よく観察すると、考え方や感情の表現方法、仕草などが子ども離れしてくるのを見て取れるでしょう。内面でも、親や友達と異なる自分独自の世界を築き始めます。
それまで依存してきた親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちな時期でもあ ります。12歳頃の男の子は、男性ホルモンの影響で突然攻撃的な言動をすることもあるでしょう。子どもの心身の変化は親にとっても戸惑いの原因になりますが、親のストレスは子どもにも伝わります。不安やストレスは、成長ホルモンの分泌を阻害しかねません。
エネルギーを発散させてあげる
12歳頃から男の子は、テストステロンという男性ホルモンの分泌が始まります。テストステロンは、戦いや攻撃を好む男性ホルモンです。テストステロンの分泌が始まる時期の男の子は、他者との競争に勝ち、他者から認められることに価値を見出し始めます。塾などの習い事や学校の定期テストで、他の子どもと競い合うことでぐんと成長する時期でもあります。
競いたくて仕方がないこの時期に競わせてもらえないと、若いエネルギーが、問題行動や非行など悪い方向に向かってしまいかねません。
最近の子どもは昔と比べて運動量が減っている傾向にあります。日常生活で意識的に体を動かすように励ましましょう。目標を作ってがんばることによって、エネルギーを正しい方法で発散することもできます。
子供の身長の伸びを決める6要因と伸ばし方
子供の身長を決めると言われている要因は以下です。
それぞれ解説し、身長の伸ばし方にも触れていきます。
遺伝
身長はすべて遺伝で決まるというわけではありませんが、遺伝的な影響が強いことは広く知られています。身長は「8割の確率で遺伝する」というのが専門家の見解です。ほとんどの人が、親の身長の影響を受けて成長していると言っていいでしょう。子どもの最終平均身長は、以下の数式で予測できます。
- 男子の予測身長=(父親の身長+母親の身長+13)÷2
- 女子の予測身長=(父親の身長+母親の身長-13)÷2
最近ではこの数式に2を足すという見方もあるようです。いずれにしても、両親の身長が子どもの身長に与える影響は大きいようです。
すべての統計には「ばらつき」がつきもの
上記の式は「平均身長」の予測に過ぎないことは覚えておきましょう。つまり、平均+αの伸びしろは他の要因で決まるということです。
栄養
体を大きくするには毎日の食事で栄養をたっぷり摂ることが大切です。子供の成長に欠かせないと言われている代表的な栄養素は以下です。
- カルシウム
- たんぱく質
- ビタミンC、D、K
- マグネシウム
- アミノ酸
- 亜鉛
効果的な栄養素の摂り方
栄養素は単体ではなく、チームワークで働くことを忘れないようにしましょう。色々な栄養素をバランス良く摂ることで、骨の成長環境を整えることができます。以下の点を意識することも大切です。
- よく噛んで食べる
- 規則的な食事の時間
- 無理なダイエットはしない
- スナック菓子やホットスナックはほどほどに
バランスの良い食事を毎日提供するのが理想ですが、どうしても足りない栄養素をサプリメントで補う家庭も増えています。
睡眠
バランスの良い食事と同じくらい重要なのが、毎日の十分な睡眠です。「寝る子は育つ」ということわざも、あながち間違いではありません。成長ホルモンは睡眠中にたくさん分泌されます。特に、眠ってから約1〜2時間後の深いノンレム睡眠中が分泌のピークだと言われています。
睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌量が減る可能性があります。そうなると骨や筋肉の形成が鈍くなり、子供の成長にとってマイナスの影響を与えるでしょう。
成長期の睡眠が重要な3つの理由
成長期の睡眠が重要なのには以下の理由があります。
身長を伸ばす
睡眠は子どもの心身の発達に影響します。睡眠中は、骨や筋肉を成長させる成長ホルモンが脳から分泌されるからです。成長ホルモンは、脳の働きを正常にしたり心身を発達させたりするのに欠かせません。そのため、十分な睡眠時間を確保できていないと、身長が伸びなかったり必要な筋肉が付かなかったりといった悪影響を及ぼす可能性があるのです。
脳や体を休ませる
人間の脳や体は、激しい運動や長時間の勉強をしなくても疲れます。そのため、1日の終わりに睡眠を取ることで脳や体を休ませなければなりません。
人が最も深く眠っているのは、入眠後90分です。この90分は「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれ、「成長ホルモン」が最も多く分泌されます。成長ホルモンは、身長を伸ばすだけでなく、眠っている間に以下の重要な作業も行います。
- 脳や体の疲労回復
- ホルモンバランスの調整
- 細胞の修復
脳と体をしっかり休ませて、成長ホルモンにしっかり働いてもらいましょう。睡眠のリズムを整えることができれば、次の日の目覚めはスッキリするでしょう。
記憶を整理する
睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すリズムによって記憶の整理を行います。
- ノンレム睡眠:深い眠り
- レム睡眠:浅い眠り
ノンレム睡眠で、必要のない情報を削除し、レム睡眠で必要な情報を脳に覚えさせるのです。レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すことで、必要な情報がアップデートされ、過去の記憶と結びつき記憶が確かなものになるのです。
つまり、睡眠のリズムが整っている子ほど記憶力がアップします。テスト前などに一夜漬けして勉強する子もいるかもしれません。しかし、実は一夜漬けよりしっかり睡眠を取るほうが記憶は固定されやすいのです。
質の良い睡眠を得るための重要ポイント
質の良い睡眠のために心がけたいポイントは以下です。
朝日を浴びて体内時計をリセット
朝日を浴びて、体内時計をリセットすることは重要です。人が、夜になると自然と眠くなるのは体内時計が備わっているからです。太陽の光で体内時計がリセットされたあと、14時間~16時間後に眠気を促すホルモンであるメラトニンが分泌されるようになっています。
朝日で体内時計をリセットすることで夜の睡眠に備えることができるというわけです。カーテンを開ける仕事を任せたり、朝日の当たるところで朝食を摂るのもいいですね。
日中の外遊びで睡眠ホルモン増加
日中は外遊びで積極的に日光を浴びましょう。そうすることで、睡眠ホルモンとも呼ばれているメラトニンの原料であるセロトニンを増やすことができます。外遊びによる適度な疲れも質の良い睡眠に効果的です。
お風呂は就寝1~2時間前が理想
お風呂は就寝の1~2時間前に済ませるのが理想です。人は、深部体温(体の内部の温度)が下がると眠くなるようにできています。1度お風呂で深部体温を高めてあげることで、お風呂上りに体温が徐々に下がりタイミングよく眠気が生じるでしょう。少しぬるく感じる程度の温度(40℃程度)で、湯船にゆったりつかることもポイントです。
寝る直前のスマホやパソコンはNG
寝る直前までスマホやパソコンを扱っている子供ほど、睡眠に問題を抱えている割合が多いそうです。夜にブルーライトを浴びると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌量が減少してしまうからだと考えられています。スマホやパソコンを何時まで使うか関して、親がコントロールしてあげることは大切です。
運動
適度な運動も子どもの成長に欠かせません。運動には、身長の伸びに関係した以下の効果があります。
- 成長ホルモンの分泌アップ
- 栄養の吸収が上がる
- 睡眠の質が向上
放課後、家の中ばかりで過ごしているなら外で遊べるようにサポートできるでしょう。身長を伸ばすには、全身を使った運動が効果的だと言われています。難しく考える必要はなく、歩く・走る・ジャンプといった動きで自然と全身を使うものです。広々とした公園など、のびのびと体を動かせる場所を見つけておきましょう。
姿勢
姿勢を正すことで身長を伸びにくくする要因を減らすことができます。例えば、猫背の期間が長いと、骨に必要な栄養分を十分に送ることが難しくなる危険があります。
また、猫背になると頭の重さを全身で支えられません。頭の重みのほとんどが首から肩にかかります。肩こりや首痛を引き起こす原因となり、運動できずに筋肉の成長を妨げてしまう可能性があります。
ストレス
人はストレスを受けると、身を守ろうとしてコルチゾールというホルモンの分泌が増加します。一時的な増加はそれほど問題にはなりませんが、分泌過多が続くと興奮状態が続き睡眠に良くありません。睡眠の質が下がると、成長ホルモンの分泌は阻害されてしまうことになります。
学校で勉強や先生やクラスメイトとの関係でストレスを感じる子供は増えています。子供の成長のためにも、家庭をホッとできる場にしておくことは重要です。お子さんが受験対策中である場合に気をつけたいコミュニケーション方法、かけてはいけない言葉については以下の記事で特集しています。
思春期初期に寝ても寝ても眠い原因は?
思春期が始まった子どもがどれだけ寝ても眠くなってしまうのには以下の原因があります。
- メラトニンの分泌タイミングが違う
- 心も体も疲れやすい
- 睡眠の質が悪い
- 過眠症という病気もある
それぞれの理由について詳しく説明します。
メラトニンの分泌タイミングが違う
睡眠で1日の生活リズムを整えるためには、脳で分泌されているメラトニンというホルモンが重要です。メラトニンには、眠気を引き起こす働きがあります。このメラトニンは、私たちの目から入ってくる光の量と体内時計で調節されます。朝、明るくなると体内のメラトニン量が減って目が覚め、夜になり暗くなると量が増え眠たくなるのが基本です。
しかし、実は10代の体内時計は大人より2~3時間遅れています。それで、メラトニンの分泌も遅れ気味で、眠気を感じるまでに大人より時間がかかり、朝はなかなか起きられないのです。
心も体も疲れやすい
思春期の子どもの多くは、朝から夕方まで学校生活を送り、夕方以降は部活や塾などで忙しく過ごしています。また、近年の中学生はスマホ所持率が7割を超え、SNSなどでのコミュニケーションで人間関係も複雑化しています。(参照:こども家庭庁の青少年のインターネット利用環境実態調査)
そのため、心も体も疲れやすい子どもが増えているのです。心や体の疲れが次の日に残ってしまうと、疲労が少しずつ蓄積されやる気が起きなかったり何をするにもだるさを感じたりします。
睡眠の質が悪い
思春期の子どもが学習能力を記憶したり脳を休ませたりするには、7~9時間の睡眠時間が必要と言われています。とくに、以下のような状況にある子どもは、筋肉を休めたり脳を休めたりするのに質の高い睡眠が必要です。
- 部活動などで体力を消耗している子
- 受験勉強などでいつもより勉強時間が長い子
また、夜遅くまでテレビを見る子やスマホを寝る直前まで触っている子が増えています。テレビやスマホの光は脳への刺激が強いため、睡眠の質にも影響します。
過眠症という病気もある
夜きちんと眠れているのに昼間が眠い状態が続く場合やめまい、立ちくらみ、頭痛などの自律神経症状を伴う場合は、特発性過眠症やナルコレプシーなどの睡眠障害の可能性もあります。素人判断することなく、必ず睡眠障害の専門医にご相談ください。
身長の都市伝説をFAQ検証
「これをすれば身長が伸びる」「これを食べると身長が伸びる」「これをすると身長は伸びないからやめた方がいい」など、身長に関する噂はネット上でもたくさん見られます。身長に関する怪しい器具や薬を売りつけたい業者がでっち上げた言説も多いので、成長期にある子どもたちの心身に有害な影響も与えかねません。
この章では、ネットで見られる身長に関する以下のようなうわさについて厳正中立に科学的に検証した結果をまとめます。
ジャンプ運動で背は伸びる?
ジャンプ運動「だけ」で身長が伸びるという話はしっかりとした根拠がありません。
京都産業大学の調査論文を見ると、バスケットボールやバレーと言ったいわゆるジャンプ系競技を行う学生の平均身長が、他の運動部員より高いことがわかります。競技の特性として高身長が有利なので、バスケット部やバレー部に背の高い子が集まり、大学生まで競技を続けてこられたのが理由でしょう。
成長スパートが始まったサインはある?
第二次成長期で身長が伸びることを、成長スパートといいます。男子は13歳頃から、女子は11歳頃が平均的な開始時期です。成長スパートの開始を見極めるサインとして、以下の2つがあります。
- 成長痛
- 体重増加
成長期は何歳まで?
骨端線は大人になると固くなり、骨の伸びは止まります。個人差はありますが、女子では11歳、男子は13歳頃がピークだと言われています。その後、中学から高校の時期まで背が伸び続ける人が多いようです。
「背が伸びる」とは、具体的には、骨1本1本の両端にある「骨端線」という軟骨部分が伸びることです。骨端線に、脳から分泌される成長ホルモンや、成長ホルモンにより生産される物質が働きかけ軟骨を伸ばします。
身長は全部遺伝で決まる?
欧米の双子を用いて行った研究で身長に対する遺伝は8割という調査結果があるようです。城西大学の調査でも、背の高い学生は両親の平均身長も高いという結果が出ました。ですから、大きな身長の決定要因は遺伝になります。
また、遺伝要因が8割としても、環境要因が2割も関わってきます。特に、子どもの成長期に親がすべきことを行えば、子どもはどんどん成長していきます。
最終身長を予測する方法は?
最終身長を予測していく方法は以下の3つがあります。
- 標準身長曲線から知る
標準身長曲線は日本小児内分泌学会HPからダウンロードできます。 - 両親の身長から知る
- 骨年齢から知る
ただ、身長の伸びは、生活習慣などで大きく変わってきます。
身長の伸びがストップしたサインは?
18歳ごろになると、多くの子どもは身長の伸びが緩やかになります。科学的な根拠が薄いものもありますが、身長の伸びがストップしたサインと言われるものには以下の3つがあります。
- 骨端線がない
- ひげ、体毛が濃くなる
- 爪半月がない
背を伸ばすために重要な生活環境は?
成長期に入っても背が伸びない多くの子の生活スタイルには以下のような特徴があります。
- 食生活の栄養素が偏っている
- 睡眠時間が短い
日本学校保健会の報告書では、高校生の平均睡眠時間は7時間を切っています。 - 家庭でけんかが絶えない
人体は、ストレスを受けるとコルチゾールというホルモンを多く分泌します。
コルチゾールが増えすぎると、身長を伸ばす成長ホルモンの分泌を抑制してしまいます。
女の子は初潮を迎えると身長が止まる?
初潮がきたからといって、身長が伸びないわけではありません。多くの女の子は11歳ごろに成長スパート(第二次成長期)を迎えます。そして、成長スパート開始からおよそ1年後が初経を迎える時期と重なる場合が多いようです。タイミングが重なるので、多くの方が初経=成長期の終わりかけと思ってしまうようです。
牛乳を飲むと背は伸びる?
2013年にハーバード大学医学部が発表した研究結果によると、成長期での牛乳の摂取によって成人身長で2.5~5㎝の身長差が生じたという結果が報告されています。また、日本大学の報告「子どもの生活習慣病の改善と牛乳摂取の効果」という論文でも、牛乳を多く飲む子どもたちの身長が、ほぼ飲まない子どもと比較して平均2㎝以上伸びたということです。
牛乳は有害とか毒である、と言った説に科学的な根拠はありません。しかし、現在では牛乳と同等、またはそれ以上に栄養豊富でカロリーも抑えられたサプリメントも数多くあるのも事実です。牛乳が嫌いな子ども、体質的に牛乳を飲めない子ども、牛乳のカロリーが気になる子どもに無理やり牛乳を飲ませる必要は全くないでしょう。
マシュマロ・ブロッコリー・納豆・小魚、どれが本当に背が伸びる食べ物?
マシュマロが身長を伸ばすという噂がありますが、この噂は怪しいと言わざるを得ません。噂が出た原因は、マシュマロの主な材料であるゼラチンが、腱・軟骨の成分であるコラーゲンからできているからでしょう。
ブロッコリーはビタミンCが豊富で、ビタミンCは身体を形成すると言われるコラーゲンを作るのに必要不可欠です。このように、骨の合成をサポートする栄養素がブロッコリーにはたくさん含まれています。
納豆を含む大豆類はタンパク質が豊富で、成長ホルモンの促進にも効果的だと言われています。もちろん、納豆だけで背が伸びるわけはありませんが、バランスの取れた食生活の助けになるでしょう。
小魚には骨の成長に欠かせないカルシウム、ビタミン、タンパク質に加えて、DHAが豊富に含まれています。もちろん、小魚だけで背が伸びるわけはありませんが、バランスの取れた食生活の助けになるでしょう。
(今は背が低くても)足が大きいから将来は高身長になる?
結論から言うと、足が大きいから身長が伸びるとは限りません。「背の高い子は足が大きい」は統計的に真実です。しかし、今は背が低くても「足のサイズが大きいので将来は高身長になる」という説に科学的な根拠はありません。
まとめ
9歳から12歳は本格的な成長期へ向けて重要な時期です。成長期には、身長も含めて、心身が大人へと成長するために、様々な変化があります。心身が健やかに成長するために、この変化の時期に上手に順応できるように助けてあげましょう。
運動・質の良い睡眠・バランスの良い食事など、成長に大切な生活習慣を整えるために、親のサポートは欠かせません。と言っても、毎日の献立を考えるのは大変な作業です。