成長サプリの効果は本当にあるのか

サプリで身長は伸びる?子供の背を伸ばすのに大切なのは?

お子さんが身長のことで悩んでいますか?

「背が高くなりたい」という子どもの願いを、親はなんとかして叶えてあげたいと思うものです。

最近では、中学生や高校生などの時期に子どもの身長を伸ばすためのサプリメントが多く存在します。

実際、お子さんの健康増強に取り入れて成果を見ているご家庭も多いようです。

商品によって口コミや評判はさまざまのようですし、口に入れるものとなると副作用も心配ですが、成長サプリに子どもの身長を伸ばす効果はあるのでしょうか?

成長サプリで子どもの身長は本当に伸びるのか、子どもの背を伸ばすのに本当に大切なのは何か解説します。

どうすれば身長は伸びるの?

そもそも、背はどのように伸びるのでしょうか?

まずは、中学生・高校生の成長期に身長が伸びる仕組みについて理解しておきましょう。

身長が伸びる仕組み

身長が伸びる仕組み

背が伸びるとは、簡単に言うと「骨」が伸びるということです。

もう少し具体的に言うと、骨1本1本の両端にある「骨端線」という軟骨部分が成長することを指します。

この骨端線に、脳から分泌される成長ホルモンや、それにより生産される物質が働きかけて骨を伸ばします。

これが成長ホルモンによって身長が伸びる仕組みです。

骨端線は、成長期が終わり大人になると固くなり、骨の伸びは止まります。

いわゆる成長期とは、この軟骨部分が柔らかく骨が伸びやすい時期のことです。

個人差はありますが、女子では11歳、男子は13歳頃が背が伸びやすいピークだと言われています。

その後、中学から高校の時期まで身長が伸び続ける人が多いようです。

この成長期に、いかに骨を伸ばせる環境を整えられるかが、子どもの成長の鍵ということになります。

身長を伸ばすサプリはどれくらい効果があるの?

子どもの身長を伸ばすためには、さまざまな要素が関係していることが分かりましたが成長サプリは実際に効果があるのでしょうか?

多くの親が子どもの健やかな成長を願って成長サプリを取り入れています。

しかし、残念ながら今のところ、背を伸ばす直接効果のあるサプリメントは存在しません。

ですから、「サプリだけで背が伸びる」というような印象を与えている商品には注意しましょう。

もちろん、サプリによって必要な栄養素を補助的に摂取することは可能です。

たくさんある国内の成長サプリを完全網羅した比較一覧はこちらをご覧ください。

サプリはあくまで栄養補助であることを覚えておきましょう。

サプリが身長に与える影響について、科学的に考察します。

成長サプリには科学的なデータがない?

成長サプリには科学的なデータがない

カルシウム、鉄、ビタミンDを含んだサプリメントを摂取して身長が伸びたという客観的なデータは、今のところ存在しません。

子どもの成長や発達に関わるホルモンを研究する「日本小児内分泌学会」は以下のように述べています。

「これらの栄養機能食品(編集部注:カルシウム、鉄、ビタミンを含んだサプリメント)を投与しても成長促進するという科学的なデータはありません。
中略
特にカルシウム製剤は、成長を促進すると思われていますが、骨を強くする作用はありますが、成長促進作用はありません。」

(引用:「日本小児内分泌学会」

確かにカルシウム、鉄、ビタミンDが極端に欠乏すると、成長が妨げられる場合があります。

そのようなお子さんはそれぞれの栄養素を補充することで、成長を正常化することが期待できるでしょう。

しかしその場合でも、サプリメントではなく医者による専門的な治療を受けるべきです。

サプリメントは、あくまで正常な環境で生活している場合において、一時的に栄養が偏ったり欠けてしまっている場合の補助食品として活用しましょう。

カルシウムを効率よく摂取できる食べ物、飲み物についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。

はやりのアルギニンでも背は伸びない?

はやりのアルギニンで背は伸びる?

最近良く耳にするアルギニンは、成長ホルモンの分泌を促すとされる代表的な物質のひとつです。

そのため多くの成長サプリでは、アルギニンをたくさん含んでいることを売りとしています。

しかし、アルギニンを口から摂取した場合の成長促進効果についても科学的なデータがあるわけではありません。

日本小児内分泌学会も、アルギニンを含むサプリで身長を伸ばすことは難しいとしています。

その理由は以下です。

  • 十分な量を摂取できない
  • 薬剤投与で成長を促進できたデータがない

つまり、「アルギニンがXXXXミリグラム入っているから背が伸びる」と宣伝されているような商品の信頼性は低いと言えるでしょう。

もちろん、アルギニンは高校生・中学生の時期の骨の成長に関わる重要栄養素ですが、アルギニン「だけ」では背は伸びません。

アルギニンについての詳しい効果・必要な摂取量・多く含まれる食品については以下の記事で説明しています。

成長サプリで十分なアルギニン量は摂取できない

成長サプリには、成長ホルモンの促進に影響を与えるほどのアルギニン量は含まれていません。

また、摂取したアルギニン全部が体内に吸収されるわけでもないので、血中のアルギニン濃度はわずかに上昇するに過ぎないでしょう。

日本小児内分泌学会でも以下のように公式発表しています。

「アルギニンはたしかに成長ホルモン分泌刺激試験の薬として用いられています。しかし、分泌刺激試験で用いる場合は、体重1kgあたり 0.5gという量を30分間で直接血管内に点滴で投与します。
たとえば体重30kgの子どもであれば15gを投与するわけです。
一方、現在サプリメントとして販売されているアルギニン製剤は、多くの場合に200mg~2gの錠剤で、内服薬です」

(引用:日本小児内分泌学会)

成長ホルモンを含むスプレーの効果は?

成長ホルモンを含むスプレーの効果

成長ホルモンを鼻や口から摂取できるスプレータイプの商品も出回っていますが、効果はあまり期待できません。

成長ホルモンの分子量は比較的大きいので、鼻や口の粘膜からは吸収しにくいからです。

日本小児内分泌学会でも以下のように公式発表しています。

「成長ホルモンは…やや大きな蛋白ですので、鼻や口の粘膜からはほとんど吸収されません。
舌下に投与した場合には、多くが唾液と一緒に胃の中に流れて分解されてしまいます。」

(引用:日本小児内分泌学会

子どもの成長に影響を与えるほどの成長ホルモンをスプレーするとなると、かなりの量が必要になります。

コスト面、副作用などの安全面でも不安が残ります。

子どもの身長を伸ばしたいなら気をつけたい4つのポイント

身長を伸ばす4つのポイントは以下です。

  1. 必要な栄養素を摂取する
  2. 成長ホルモンの分泌
  3. 十分な睡眠
  4. 適度な運動

それぞれについて解説します。

必要な栄養素を摂取する

身長を伸ばす4つのポイント

子どもの成長に欠かせないと言われている栄養素は以下です。

  • カルシウム
  • たんぱく質
  • ビタミンC、D、K
  • マグネシウム
  • アミノ酸
  • 亜鉛

以前は背が伸びる栄養素として、カルシウムだけをイメージしていた人は多いのではないでしょうか。

確かに、骨の主要成分はカルシウムです。

しかし、実は骨を“伸ばす“ためにはカルシウムだけでは不十分なことがわかってきました。

カルシウムは骨の材料となる栄養素で、主に骨の“密度”を上げてくれます。

骨の成長を促して身長を伸ばすには、カルシウムと一緒にたんぱく質など他の栄養素をバランス良く摂取することが重要です。

そして、カルシウムやたんぱく質の吸収をよくするためにはビタミンC・ビタミンD・マグネシウムも一緒に摂取しなければなりません。

ビタミンKは骨を強化する働きを持ちます。

アミノ酸や亜鉛は、脳からの成長ホルモン分泌を促すことを期待できる栄養素です。

亜鉛が成長期の子どもの身体に与える影響については、以下の記事で詳しく説明しています。
成長サプリマスター
成長サプリマスター

栄養素は単体ではなく、チームワークで働きます。

必要な栄養素をバランス良く摂ることで、骨の成長環境を整えましょう。

成長期をサポートするおすすめ食品一覧

栄養素 多く含まれている食品
カルシウム
  • 牛乳
  • 乳製品
  • 小魚
  • サクラエビ
  • ウナギ
  • 納豆
  • 厚揚げ
  • ヒジキ
  • チンゲン菜
  • 小松菜
たんぱく質
  • 豆製品
ビタミンC
  • 赤ピーマン
  • 黄ピーマン
  • さつまいも
  • キウイ
  • オレンジ
ビタミンD
  • サケ
  • サンマ
  • キクラゲ
ビタミンK
  • 納豆
  • ホウレン草
  • 鶏もも肉
マグネシウム
  • ゴマ
  • ナッツ
  • 大豆
  • 納豆
  • ワカメ
  • ヒジキ
  • アボカド
アミノ酸
  • 豚肉
  • あじ
  • 鶏卵
  • 牛乳
  • 大豆
亜鉛
  • 牡蠣
  • いわし
  • うなぎ
  • レバー

食事を摂る際に意識すべきポイント

食事を摂る際には、以下の点を意識することも大切です。

  • よく噛んで食べる
  • 規則的な食事の時間
  • 無理なダイエットはしない
  • スナック菓子やホットスナックはほどほどに

成長ホルモンの分泌

成長ホルモンの分泌

身長が伸びるために重要なのが、脳下垂体から分泌される成長ホルモンの分泌です。

成長ホルモンは、肝臓や骨の先端近くにある軟骨(骨端線)に働きかけ成長因子の産生を促します。

成長因子の作用で骨が成長し、身長が伸びていくことになります。

また、骨の成長や成熟にはこの他にも、甲状腺ホルモンや性ホルモンが関わっています。

小児期に成長ホルモンの分泌が不十分だと、低身長になったり、ある時から急に身長が伸びなくなることがあるようです。

例えば、ストレスは成長ホルモン分泌の妨げとなることが分かってきました。

子どもに愛情を注ぎ、家庭を居心地のいい場所にすることを心がけましょう。

学校でのストレスを家庭で癒すことができればいいですね。

十分な睡眠

背を伸ばすには十分な睡眠

バランスの良い食事と同じく、子どもの成長に重要なのが十分な睡眠です。

成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。

特に、眠ってから約1〜2時間後、深いノンレム睡眠中が分泌のピークだと言われています。

睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌量が減り、骨や体が形成されにくく、成長に影響を与えます。

また、就寝時間が不安定になると、食生活にもよくない影響を与えます。

朝遅く起きてしまうと食欲がわかなかったり、時間がなくて朝ごはんが食べられないという事態が生じるかもしれません。

以下の点を意識し、しっかりと睡眠をとれる環境づくりを心がけましょう。

  • 早起きの習慣を身につける
  • 日中は太陽の光を浴びる
  • 食事は寝る3時間前までに済ませる
  • お風呂は就寝1~2時間前
  • ベッドに入ったらスマホは見ない

適度な運動

背を伸ばすには適度な運動

適度な運動も中学生・高校生の時期の子どもの成長に欠かせません。

運動することにより以下の効果が期待できます。

  • 成長ホルモンの分泌アップ
  • 栄養の吸収が上がる
  • 睡眠の質が向上

特に全身を使った運動が効果的です。

もし、子どもが放課後家の中ばかりで過ごしているなら、外で遊べるようにサポートしましょう。

ただし、小学生からの過度な運動や筋トレは、かえって身長を伸ばす妨げになるとも言われているので注意が必要です。

成長期の子どもの筋トレについては以下の記事で解説しているので、どうぞご覧ください。

まとめ

子どもの成長に大切なのは、「栄養・睡眠・運動」のバランスです。

サプリメント「だけ」に頼っていても、背を伸ばすことは難しいでしょう。

仕事で忙しく、子どもの栄養バランスを考えることが難しい親にとっては強い味方です。

成長サプリは、日ごろ摂取が難しい栄養素を補うものとして活用することをおすすめします。

それでも、毎日の食事が子どもの体づくりに大きな影響を与えることは忘れないようにしましょう。

100%背を伸ばせるサプリは存在しない以上、コスト面で無理をする必要もありません。

値段が高いからといって、必ず背が伸びるわけではないからです。

まずは、子どもの成長に足りていないものがないか、生活の基本を見直してみるのはいかがでしょうか?

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