


多くの成長サプリに含まれているアルギニンに興味・関心はあるものの、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
身体が大きくなる中学生や高校生の時期に体に入れるものの量や栄養には、親として気を使いたいものです。
この記事では、アルギニンの伸長効果の真実や必要とされる摂取量、副作用の危険性、アルギニン量で成長サプリを選ぶ際の注意点について分かりやすく説明します。

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アルギニンとは?
アルギニンとは、たんぱく質の素になっているアミノ酸の1つです。
人の体は約20%がたんぱく質でできており、たんぱく質は20種類のアミノ酸で作られます。
20種類あるアミノ酸のなかで、アルギニンは病気への抵抗力を高めたり、身体の傷を早く治す効果があります。
そのほか脂肪の代謝を促進し、筋肉を増強させる効果もあるので、成長期の子供だけでなく、大人も摂り入れたい栄養素です。

「非必須」と聞くと大して重要な成分に思えないかもしれません。
しかし、実は中学生・高校生年代の体作りにはとても重要な栄養素です。
アルギニンには成長ホルモンを促進させる効果
アルギニンには成長ホルモンの合成を促進させる働きがあります。
成長ホルモンは体内の骨や糖質や水分、ミネラルなどの代謝を促進させる重要な物質です。

身長を伸ばすためには、中学生・高校生の時期に成長ホルモンの分泌を活発に保つ必要があります。
その成長ホルモンの働きを促進して、骨の成長を刺激するのがアルギニンなのです。
そのため、多くの人気成長サプリにアルギニンが配合されています。
成長期の中学生・高校生はアルギニンが不足しがち?
成人であればアルギニンを体内で十分に作り出すことができますが、乳幼児や成長期の子供は体内で十分に作れません。
もともとアルギニンは体内で合成できる量が少ないアミノ酸です。

成長期の中学生や高校生は、身長を伸ばすのに十分なアルギニンを常に確保するために、食事やサプリメントを使って外から補充するとよいでしょう。
たくさんある国内の成長サプリを完全網羅した比較一覧はこちらをご覧ください。
1日にどれくらいの量のアルギニンが必要か?
アルギニンが効果的に働くには、1日に2000mg~4000mgの摂取が必要だと言われています。
アルギニンが多く含まれている主な食べ物は以下です。
上記一覧を見てわかるように、アルギニンは高カロリー・高脂質の食品に多く含まれていることが多いです。

ですから、サプリメントや栄養補助食品で補うのが効果的とされています。
では、アルギニンの含有量で成長サプリを選べば間違いないのでしょうか?
結局アルギニンで背は伸びるの?
結論から言うと、単にアルギニンを摂取する「だけ」で身長が伸びることは期待できません。

アルギニンが成長期の身長を伸ばすのに効果的という話題は多くの人が知るところとなってきました。
それにつれて、アルギニンを摂りさえすれば身長が伸びるという思い込みや、成長サプリはアルギニンの量が多いほどいい、といった偏った情報が広がっているようです。
確かに、身長を伸ばすには成長ホルモンとアルギニンが深く関わっています。

成長サプリをアルギニン量で選ぶのは効果的?
残念ながらアルギニン「だけ」を売りにしているサプリメントは残念ながら信頼性は低いでしょう。
日本国内では、日本小児内分泌学会が以下のような見解を発表しています。
アルギニンはたしかに成長ホルモン分泌刺激試験の薬として用いられています。
しかし、分泌刺激試験で用いる場合は、体重1kgあたり0.5gという量を30分間で直接血管内に点滴で投与します。
たとえば体重30kgの子どもであれば15gを投与するわけです。
略
一方、現在サプリメントとして販売されているアルギニン製剤は、多くの場合に200mg~2gの錠剤で、内服薬です。
その全部が吸収されて血中に移行したとしても分泌刺激試験の10分の1ぐらいの量となり、
略
全部がそのまま吸収されないことや代謝などを考えると、血中のアルギニン濃度はわずかな上昇に留まるのではないかと考えられます。
従って、サプリメントの服用で成長ホルモンの分泌が促進するとは考えられません。
「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)|日本小児内分泌学会

この見解を無視して「アルギニンがX000mg含まれているので背が伸びる!」と宣伝されているサプリメントは残念ながら信頼性は低いと言えるでしょう。
アルギニンだけ摂取してもアミノ酸は働いてくれない
体作りに欠かせないアミノ酸は、20種類のうち一番少ない量のアミノ酸の分しか働かないという特徴があります。
つまり、1種類のアミノ酸だけを多く摂取しても、他のアミノ酸がバランス良く摂れていないと十分に働けません。

最近はアルギニンだけでなく、直接成長ホルモンをスプレーするといった成長関連商品も多くなってきました。
成長ホルモンスプレーや、成長サプリメントで本当に背が伸びるのか?以下の記事で詳しく説明しています。
アルギニンの副作用の心配
適量の摂取であれば、基本的にアルギニンは分解されて体外に排出されますので副作用の心配はありません。
しかし、子どもの健康状態や成長ステージによっては過剰摂取したことで副作用が出る可能性があります。

報告されている副作用は、胃腸障害による腹痛・下痢・嘔吐などです。
早く効果を実感したいがために、各商品で推奨されている摂取量以上に摂り入れたくなるかもしれません。
しかし、過剰に摂取してしまうと副作用が出てしまう可能性があります。

では、育ち盛りの子どもの背を伸ばすために本当に重要なのは何でしょうか?
背を伸ばすために必要な3つのこと
成長ホルモンの分泌を促進するには、日々の生活習慣の中で成長ホルモンが十分に分泌される環境づくりが重要になってきます。
成長ホルモンの分泌を促進するために心がけるべき生活習慣が以下の3つです。
- 良質の睡眠を取る
- 十分な運動
- 栄養バランスの良い食事
成長ホルモンを促進するために必要な3ポイントを詳しくお伝えします
良質の睡眠を取る
身長を伸ばすのに重要な成長ホルモンは睡眠中に分泌されると言われています。
特に、以下の3つの睡眠時間帯が重要で、この時間帯の眠りが浅いと分泌量が減ってしまいます。
- 寝始めてからの3時間
- 寝始めてから最初に訪れるノンレム睡眠(深い眠り)の時間
- 夜22時から翌2時まで
上記の時間帯に眠りが深くなるように、寝る前のカフェイン摂取やパソコン・スマホの使用をやめましょう。

また、成長ホルモンは空腹時に多く分泌されます。
ですから、寝る直前に食事を摂らないように注意が必要です。
上記の時間帯も含めて十分な睡眠をとることが身長が伸びる環境につながっていきます
十分な運動
運動をすると、筋肉の中で乳酸が発生し、乳酸が成長ホルモン分泌を刺激してくれます。
ジョギングなどの有酸素運動よりも、筋力トレーニングのような無酸素運動のほうが成長ホルモンを分泌しやすいといわれています。
しかし、体ができあがっていない小学生・中学生の時期に筋力トレーニングにあまりこだわりすぎる必要はありません。

また、遊びや運動をすることで良質の睡眠を取れるようになるでしょう。
また、適度に疲れて食欲が高まることで必要な栄養を摂る食事を十分に摂り入れることができます。
成長期の子どもの筋トレについては以下の記事で解説しているので、どうぞご覧ください。
栄養バランスの良い食事
栄養バランスの良い食事によって、骨や筋肉の成長に必要なアミノ酸をバランス良く摂れます。
この記事で説明したアルギニンだけでなく、他のアミノ酸や栄養素もバランス良く十分に摂取しましょう。
特に、身長や身体が大きくなる中学生や高校生の時期は、食事での基本的な栄養を摂取するのが大前提です。

体内で成長ホルモンを効果的に働かせるためにも、不足しがちな栄養素をサプリメントで補ってあげることも検討しましょう。
背が伸びると言われる食材のウソホントについて以下の記事で説明しています。
まとめ:背を伸ばす生活習慣
背を伸ばすには、成長ホルモンの分泌を促進させることが重要です。
そしてアルギニンは、体内での成長ホルモンの合成に重要な役割を果たします。

ですが、日々の食事では不足しがちな栄養素をサプリメントでバランス良く補ってあげるのは有効です。
毎日忙しい親御さんにとっても、サプリメントは頼もしい味方になってくれるでしょう。
