

「牛乳を飲むと背が伸びる」でお馴染みのカルシウムですが、摂取することで具体的にどのような働きをしているのでしょうか。
成長サプリの開発で意見をうかがう多くの親御さんも、「カルシウムは骨を強くする栄養素」というイメージしかない方が多いようです。
逆にカルシウムを飲めば身長が伸びると勘違いされている方も少なくありません。
しかし、カルシウムには成長期の子どもにとって、さまざまな効果をもたらしていることが分かっています。

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この記事を読み終える頃には、カルシウムを含む食品についての知識が深まり、成長期の子どもの健康的な身体作りに役立てられるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
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カルシウムが豊富な食材は牛乳?
カルシウムを豊富に含む食品として、以下の5種類が挙げられます。
乳製品
カルシウムと聞くと乳製品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ただ、意外に乳製品のなかのカルシウム量はそれほど多くありません。
それでも、飲み物でカルシウムを摂取できるのは魅力です。
牛乳のなかには、100mlあたり110mgのカルシウムが含まれています。
牛乳が子どもに与える良い影響、悪い影響を最新論文から説明した記事はこちらです。

しかし、これらの食品を日々の食事で摂取するのは現実的ではありません。
特に乳製品は、子どもの脂質過多を招く可能性があり、アレルギーを抱える場合は特に摂取が難しいでしょう。
アレルギーなどで牛乳を飲めない方向けの代替食材についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
手軽に栄養を摂取するためにも、サプリメントを活用することをおすすめします。
栄養素をバランス良く摂取することは大切ですが、全てを食品から摂取するのは困難です。
食材で補えない栄養素はサプリメントを活用して、効率よく摂取しましょう。
他にも意外にカルシウムを効率よく摂取できる食材を紹介します。
魚介類
カルシウムを摂取するなら、魚介類が最もおすすめです。
なかでも、干しエビは100gあたり7,100mgものカルシウムが含まれています。
ただ、毎日魚料理を準備するのは大変です。
調味料・香辛料
意外にも、調味料や香辛料類のなかにもカルシウムは含まれています。
バジル(粉)で100gあたり2,800g、ベーキングパウダーで100gあたり2,400gです。
さまざまな味付けで飽きることなく摂取できます。

芋類・豆類
和食でもよく使用される芋類でもカルシウムは摂取できます。
例えば、こんにゃくなら100gあたり1,600mg、えんどう豆を塩ゆでにしたものなら100gあたり1,300mgとかなり大きな含有量です。

カルシウムと摂るべき栄養素
成長期に健康で丈夫な骨を作るには、カルシウムだけを摂取すればいいわけではありません。
カルシウムの他に以下をバランスよく摂り入れることが大切です。
- ビタミンD
- ビタミンK2
- ペプチド
この3つの栄養素が体内で吸収され骨に沈着させることで骨は成長していきます。
カルシウムやビタミンD、ビタミンK2を効率よく摂取しようとすると、かなり食生活に気を付けなければなりません。

ビタミンD
ビタミンDは、骨の健康を保つのに必要です。
腸からのカルシウムとリンの吸収を促し、血液中のカルシウム濃度を高めて石灰化を進めます。
また、食事からだけでなく日光を浴びるだけで体内合成もできるので比較的摂取しやすいのも特徴です。
しかし、ビタミンDが不足すると、子どもの成長を妨げる原因になる可能性もあるのです。
ビタミンK2
ビタミンK2は、微生物によって作られ、骨を強化するための働きを持ちます。
骨を形成する際に必要となる「オステオカルシン」というたんぱく質にも関係があります。
ペプチド
ペプチドたんぱく質とカルシウムを一緒に摂取すると、カルシウムだけの場合よりも骨の成長速度が高まることが分かっています。

例えば、ボーンペップは、卵黄から発見された骨の成長を助けるペプチドたんぱく質として話題です。
カルシウムと一緒に摂取すると、骨の成長を促し、骨密度を高めるため強い骨をつくることが期待できます。
カルシウムの推奨摂取量は?副作用の心配は?
年齢 | 摂取推奨量(mg) | |
---|---|---|
歳 | 男性 | 女性 |
3~5 | 600 | 550 |
6~7 | 600 | 550 |
8~9 | 650 | 750 |
10~11 | 700 | 750 |
12~14 | 1,000 | 800 |
15~17 | 800 | 650 |
18~29 | 800 | 650 |
上記は厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)で示しているカルシウムの摂取量基準です。
一方、2019 (令和元) 年の厚生労働省国民健康・栄養調査では、日本人のカルシウム摂取量の平均は以下です。
男性:平均517 mg/日
女性:平均494 mg/日
十分のカルシウムを全く摂取できていません。
特に、12~14歳の男の子は必要量の半分程度しか摂取できていないことがわかります。

ですから、健康な人が通常の食事からカルシウムを過剰に摂取しても健康障害が発生することは稀です。

過剰摂取すると現れる症状は?
カルシウムの過剰摂取は、以下のような症状を引き起こすリスクがあります。
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カルシウムの過剰摂取は、健康障害が懸念されるため、お子さんの健康状態や成長期に合わせて摂取しましょう。
小分けに摂取するのが効果的
カルシウムは1日数回に分けて摂取するのが効果的です。
私たちの体は、カルシウム集中してたくさん摂取すると、尿に排泄される量も増加する特質を持っています。

ですから、1食で集中的に摂取するよりも、何回かに分けて摂取するほうが効率よくカルシウムを摂取できるでしょう。
カルシウムを摂れば背が伸びる?
カルシウムは、歯や骨などを作る材料となるだけでなく、身体の機能の維持・調節に不可欠でもあります。
「カルシウムで身長が伸びる」と一般的に思われがちですが、実はカルシウム自体に骨を伸ばす効果はありません。
また、人間の身体は一度にカルシウムを吸収できる量が限られており、たくさん摂ったぶん身長が伸びるわけではありません。

成長期の子どもはもちろん、大人の方にとっても欠かせない栄養素といえるでしょう。
では、具体的にカルシウムは人間の体内で、どのように働きかけているのでしょうか。
カルシウムと成長ホルモンの関係
成長ホルモンは、子どもが思春期に差し掛かると多く分泌され、心身ともに大人へ近づける大切なホルモンです。
成長ホルモンは、成長期の子どもの骨にしか存在しない骨端軟骨に働きかけて骨細胞を分裂させ骨を伸ばしてくれます。

ただ、成長ホルモンによって骨は大きくなりますが、骨が強くなるわけではありません。
骨が伸びる時には、その材料となるカルシウムが体内で不足気味になります。

カルシウムの摂取とともに、適切な睡眠・運動をすることで、成長ホルモンの分泌が促されます。
身長を伸ばすために必要な要素はたくさんあり、カルシウムだけでなく栄養をバランスよく摂ることが骨の成長を促進します。
カルシウムとたんぱく質の関係
骨の成長には、たんぱく質の摂取も欠かせません。

人間の骨は、骨の先端部分にある軟骨細胞に成長ホルモンが働きかけることで伸びていきます。
この成長ホルモンの分泌を促す根源がたんぱく質です。
加えて、人間の筋肉は骨と接着している割合が多いため、骨と筋肉を一緒に成長させることが大切です。
たんぱく質は、脂質やミネラルの代謝を促進する働きもあるため、ミネラルであるカルシウムの効果を高めることができます。

健康的な子どもの成長期を促すためにも、カルシウムと一緒にたんぱく質を摂取する必要があります。
育ち盛りの子どもがたんぱく質を大切にすべき理由、摂取方法についてはこちらの記事で解説しています。
カルシウム3つの効果は?
ここからは、カルシウムが与える効果について、以下の流れで紹介します。
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カルシウムの摂取は成長期の子どもにとって「背が伸びやすくする土台作り」であり、さまざまな効果をもたらします。
ここから、効果について詳しく解説します。
骨や歯を形成
カルシウムは、骨や歯を形成するための材料として欠かせません。

カルシウムの摂取が不足すると、血液中のカルシウム濃度を保つために、骨や歯からカルシウムが漏れ出してしまうのです。
その結果、もろく弱い骨や歯が形成され、成長期の子どもならくる病(骨軟化症)を発症するリスクが高まりかねません。
カルシウムを十分に摂取することで、健康的な骨や歯が形成され、身体に現れる不調への対策もできるといえます。
筋肉の収縮をサポート
カルシウムは筋肉の収縮運動をサポートする効果があります。
骨と繋がっている筋肉「骨格筋」の収縮は、筋芽細胞に含まれる「小胞体」からカルシウムが出入りすることでコントロールされています。

この筋肉収縮は、腕や脚に限らず心臓にも関わっているため、カルシウム不足は心臓へ悪影響を及ぼします。
運動能力の低下はもちろん、血糖値が上がりやすくなるため、さまざまな病気を発症しやすくなるでしょう。
神経の興奮を抑える
カルシウムには神経の興奮を鎮める作用があると言われます。

昔から、いらいらすると「カルシウムが足りてないんじゃないの?」と言われましたよね。
確かに、血液中のカルシウム濃度が低下するといらいらしたり不安症状が出てくることは医学的にはっきりしています。
しかし、それほどのカルシウム不足は、摂り入れるカルシウムの不足が原因ではなく、ほとんどがホルモン系の疾患などのより深刻な原因があるでしょう。
カルシウムの摂取不足が直接の原因でいらいら症状が出ることはないようですが、神経の情報伝達を助けるカルシウムは欠かせない栄養素と言えるでしょう。
まとめ
カルシウムを摂取するために最も大切なことは「バランスのとれた食事」です。
サプリメントでカルシウムを補う際は、あくまで成長期の子どものサポートとして取り入れるようにしましょう。

日頃の食生活を楽しみながらサプリメントを活用して、バランスのとれた健康的な生活を送るようにしましょう。