

日本人の3人に1人は慢性的な亜鉛欠乏状態にあるそうです。
そして、子どもたちの身長が成長期に伸びない原因も、亜鉛不足の可能性が指摘されています。

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亜鉛とは
亜鉛は様々な身体の機能を維持していくために必須のミネラルで、成長ホルモンの産生、DNAの複製やたんぱく質合成にも大きく関わっている栄養素です。
亜鉛は骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓など、身体中いろいろなところに存在しています。
味覚に大きく影響を与えるといわれ、亜鉛が不足すると免疫力が低下し、風邪をひきやすくなります。
多くの人が亜鉛不足になる理由
食事で亜鉛は十分取れていると思う方もいるかもしれません。
しかし、東北大学 駒井三千夫教授による「日本人における亜鉛摂取量 の現状と摂取基準」では、日本人の多くが慢性的な亜鉛不足にあることが論じられています。
一般成人で摂取量が少ない傾向にあるほかに,とくに日本の子どもと老人,若い女性で亜鉛が不足している状況にあると考えられる
日本人は、先進国で唯一10~30%が亜鉛欠乏状態にあると報告されています。
多くの人が亜鉛不足になりがちな理由は以下です。
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亜鉛で子供の身長は伸びる?
亜鉛は成長ホルモンの産生、たんぱく質合成にも大きく関わっているので成長期の骨の成長にも深くかかわります。
2017年にタイのシーナカリンウィロート大学が、亜鉛と身長の伸びについて実験結果を発表しました。
9歳前後の子ども140人について、亜鉛サプリメントの摂取によって以下のように身長の伸びに差が出ました。
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半年で約1センチはかなり大きい差です。
結論として、亜鉛の補給は健康な学齢児童の成長(身長)が有害事象を見出すことなく改善した。
亜鉛の補給は,亜鉛欠乏の常在地域の学齢児童の発育阻害を改善・軽減するための日常的な戦略として考慮されるべきである(編集部翻訳)
ただし、タイは国民の40%以上がもともと亜鉛欠乏症と推定されています。
ですから、この実験に参加した子どもたちに明確な既往症はありませんでしたが、もともと亜鉛が不足気味であった可能性はあります。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所のデータベースでも、6~23月齢)の乳幼児での亜鉛の摂取により体重および身長の増加したことが認められています。
どちらにしても、亜鉛が成長期にある子どもの身長に深く関係することは明白でしょう。
亜鉛に摂り過ぎはある?
亜鉛を摂りすぎると逆効果になってしまう可能性もあります。
亜鉛を摂りすぎてしまうと、以下のような問題が起きてしまいます。
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亜鉛の推奨摂取量は?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成長期における亜鉛の推奨摂取量は以下です。
ただ、サプリメントの形で亜鉛を大量摂取してしまうと過剰摂取の危険もあるので注意が必要です。
効率的な亜鉛摂取方法とは?
まず、食事でしっかりと摂ることが重要になってきます。
亜鉛が多く含まれている食材は以下の通りです。
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比較的子どもでも食べやすい食材がそろっています。
ではどうしたら効率良く亜鉛を摂取することができるのでしょうか?
動物性たんぱく質と一緒に摂取する
亜鉛はたんぱく質と一緒に摂取した方が、吸収率が良くなります。
たんぱく質の中でも植物性ではなくて、動物性のたんぱく質の方がいいでしょう。
クエン酸と一緒に摂取する
クエン酸も亜鉛の吸収率を上げてくれます。
クエン酸と亜鉛を一緒に摂ることで亜鉛を体内に吸収しやすいものにしてくれます。
ビタミンCと一緒に摂取する
ビタミンには、水溶性と脂溶性がありビタミンCは水溶性のビタミンです。
水溶性なので加熱した料理だとビタミンが壊れてしまう可能性があります。
なるべく加熱せずに摂れるビタミンCにしましょう。
加工食品には注意
加工食品の中には亜鉛の吸収率を下げてしまう添加物がたくさん入っています。
添加物は、亜鉛を体外に排出してしまうといわれるので注意が必要です。
親が忙しい時にはコンビニ弁当やインスタント食品を活用することもあると思います。
インスタント食品であっても、以下のような亜鉛を豊富に含んだプラス1品をつけてあげるといいでしょう。
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まとめ
亜鉛は意識をしないと摂取が難しい栄養素です。
ですから、日々の食事から意識的に摂取できるようにサポートしましょう。
また、亜鉛だけ摂取してれば身長が伸びるわけではありません。
しっかりとバランスのよい食事を摂り、早く寝て、適度な運動を続けることが子供達の成長に欠かせません。
必要であれば生活スタイルを見直して、子どもの身長を伸ばしてあげられる手助けをしましょう。